スクランブル交差点(スクランブルこうさてん)は交差点の種類の一つである。横断歩行者と自動車の交通を完全に分離する方式のものである。 車中心の道路状況の中、歩行者が十字路の交差点で斜め向かい側(対角線上に)渡る場合、通常2回道路を横断する必要があるが、スクランブル交差点では信号機により一時的に交差点へ流入する車の流れを全て止めることにより、歩行者はあらゆる方向へ自由に横断することができる。主に人通りの多い繁華街の交差点において採用されている。 最初に設置されたのはアメリカ・ミズーリ州カンザスシティとカナダ・バンクーバーで、1940年代であった。日本におけるスクランブル交差点は日付に諸説あるが、熊本県警察史によると1968年(昭和43年)12月1日、熊本県熊本市の子飼交差点が初めてとされている。これはT型の交差点に、熊本市電黒髪線(1972年に廃止)の電停の終点が絡むという状況で、通学客と買い物客が信号待ちの間に電停から溢れるという不便を解消する手段であり、十字型の交差路の歩行者の斜め移動の利便性よりも、むしろ大規模な歩車分離式信号機の先駆けと言える。しかしながら、T型交差点と電停客の全ての交通を専用信号と広大な横断歩道で賄おうとした例として、日本初のスクランブル交差点と位置付けても間違い無い。当時熊本県警察で導入に携わった担当者によると、九州管区警察学校で読んだ本に載っていたニューヨーク5番街のスクランブル交差点からヒントを得たという。 現在は、日本全国で300箇所以上のスクランブル交差点がある。特に、東京都・渋谷駅前のスクランブル交差点は、その膨大な歩行者の量から世界的に有名で、東京、あるいは日本そのものを象徴する風景として紹介されることも多い。 スクランブル交差点は通常の交差点よりも交通容量が小さいために渋滞を招くことも多い。地方都市ではモータリゼーションの進展や都市の衰退による歩行者の減少と自動車の増加により、交通渋滞の原因とされ、通常の信号機に戻すケースもしばしば見られる。逆に、幹線道路を跨いだ交流を密にするためや交差点の交通事故防止のために設置が要望されているところもあるが、警察などの行政が渋滞を懸念してスクランブル化を拒むケースが多く、交通量の少ない交差点ばかりがスクランブル化され、交通量が多く真に必要な交差点のスクランブル化が進まないケースも見られる。 一方で日本国外で逆に日本のスクランブル交差点が評価されることもあり、2009年4月にはロンドンの繁華街の中心オックスフォード・サーカスにおいて「日本に倣って」スクランブル式が導入されることが発表され、2009年11月2日に完成した。 参考資料 Wikipediaより